踊るように寝て、眠るように食べる
ひらいめぐみ
¥1320(税込)
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20年弱にわたりたまごシールを蒐集し、書き手として活躍の場を広げるひらいめぐみさんによる待望の新エッセイ集が届きました。ひらいさんが綴った2022年11月1日から2023年3月31日までの日記と、その日記に登場した「もの」や「こと」をテーマに書き下ろした6篇のエッセイを収録。思わず共感し頷いたり、口角が上がったり。自身の思い出と重ねてはじんわりと余韻に浸りたくなる生活の断片の連続。
「食」を愛でる人であるからこそ紡げるであろう、決して他人事とは思えないエピソードが並びます。踊るように寝て、眠るように食べている愛らしい猫の装画はイラストレーター・花原史樹さんによるもの。
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十一月二十日(日)
“ダンダダンの麻婆豆腐がすっごくおいしくて、おもわず心の中に味をメモした。「麻婆豆腐」って、字だけ見るとなんかこわい。縦方向の線と横方向の線がごちゃごちゃってなってて、めちゃくちゃ荒れてる手相みたいだ。”
一月二十九日(日)
“花束を抱えて歩いて帰るのがすきだ。わけもなく、じんわりとうれしくなるから。右手には花束を抱え、左手にはスーパーの袋を下げ、住宅街の中を歩く。風もなく、穏やかな夜。ふと空を見上げると、ほぼ真上に月が浮かんでいた。自分がいなくなったら、このなんでもない時間ごと、なくなってしまうんだな、と思うと、ふいにさみしくなる。喜怒哀楽だけじゃない、穏やかで凪の感情を抱いているときのわたしを、誰かが覚えてくれるのだろうか。”
(本文より)