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Column

FLAUとのおもひで

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FLAUのオーナーの福園君との出会いは確か、アートユニットOvertureと福園君の別プロジェクトSheeprintのツアーをサポートした時だ。
久しぶりに検索して調べてみると、ツアーの日程は2010年の8月。もう12年も前だ。
ツアーの初日は日田リベルテでの公演。僕は確か福岡市内で仕事がありイベントには参加できなかった。打ち上げから合流することにしていて、その会場について早々にSheeprintのメンバーを紹介された時、リーダーの人が福園君でaus名義で音楽活動をしていて、FLAUって音楽レーベルもやってるよって聞いて以前からFLAUのレーベルの音楽をよく聞いていた僕はとても驚いたのを覚えている。だって、Sheeprintからツアーサポートの連絡が来た時はそんなことは一言も話してなかったから。。
そのツアーの佐賀公演は集客が厳しすぎて中止するという苦い思い出になったが、福岡公演は盛況でとても楽しかった記憶がある。そして、なにより同じ年齢でお互いに共通の音楽が好きな人に出会えたことがとても嬉しかった。

それからは、FLAUに所属するアーティストの福岡公演のオーガナイズを担当させてもらったり、僕たちが主催する音楽イベントに出演してもらったり、たまに近況を報告しあったり、狭い音楽業界の愚痴を言い合ったり、交流が続いた。
だから、このお店を開く時もFLAUのCDを取り扱いたいと思っていたし、この町でFLAUのアーティストの福岡公演が出来たら素敵だろうなとぼんやり思っていた。その夢は「Henning Schmiedt Japan Tour 2020 うきは公演」で叶うかと思ったけど、まさかの新型コロナウイルスの影響をうけてツアー自体が中止に。それからの音楽業界の変化には目まぐるしいものがあったと思う。FLAUももちろんその渦中で様々な対応を迫られただろうし困難が続いた時期だったことは想像に難くない。

今回、FLAUのフェアをMINOU BOOKSで開催する話を進めていく中で、せっかくだから本屋さんらしいアプローチでフェアをやりたいですね。という話になった。本屋さんらしいアプローチってなんだろう。想いを文章にして残すアイデアはどちらからの提案だったかは忘れてしまったが、それをzineというすこし気持ちが前のめりで荒削りな形として残すのはとても面白いと思った。
そんなことで今回、FLAUのアーティスト4組にインタビューを行い、フェアに合わせてinterview zine _ 「コロナ禍に考える音楽文化の変遷」を作ったので是非読んで頂きたい。
福園君にも締めの言葉を頂いていてとても印象的だったので少し抜粋させて頂く。

「沢山の人が集まることの刹那的な高揚感や何かひとつの音楽的な文脈を世の中に提示することよりも、個々の音楽が人それぞれとダイレクトに繋がること、個人であることを改めて認識できるような場としての機能を模索することがレーベルの役割であり、小さな音楽の火が消えないようにこれからも光を当て続けていきたい」

音楽レーベルは大海原に浮かぶ一隻の船のようだと思った。アーティストという道筋を海図のように繋げて歴史や文化を継承しながら先を目指す。コロナ禍という嵐が大きく書き換えた行き先は、不思議となんだか悪くない場所のような気がしている。FLAUという音楽レーベルの活動をこれからもずっと見続けていきたい。

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