撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて
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国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件のはずであるにもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避しているように見える』
冒頭の内田さんの言葉にはなるほどと唸らされます。環境問題への取り組みも、地方創生も、SDGsもなぜか前に進んでいくという成長のレールに乗せられている気がしてならないからです。これから先、国力が強くなることは無いのに。
本書は、それぞれの識者による、全体を俯瞰したマクロな視点から、土着的な地べたの思想、そして小さな日々の実践のことまで、様々な「撤退」への知見であふれています。
ただ、もちろんこれらをそのまま受け入れるわけにはいかなくて、その場所の状況や環境などの土着的な諸要素を加味してこれらの知見をインストールした場所からなにをやるべきか考えることにはとても意義があると思います。
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少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。
名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか?
「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。
【目次】
まえがき 内田樹
■1 歴史の分岐点で
撤退は知性の証である──撤退学の試み 堀田新五郎
撤退のための二つのシナリオ 内田樹
撤退戦としてのコミュニズム 斎藤幸平
民主主義からの撤退が不可能だとするならば 白井聡
撤退戦と敗戦処理 中田考
■2 撤退の諸相
撤退という考え方──ある感染症屋のノート 岩田健太郎
下野の倫理とエンパワメント 青木真兵
音楽の新しさはドレミの外側にだって広がっている 後藤正文
文明の時間から撤退し、自然の時間を生きる 想田和弘
撤退のマーチ 渡邉格
撤退女子奮闘記 渡邉麻里子
■3 パラダイム転換へ
『桜の園』の国から 平田オリザ
ある理系研究者の経験的撤退論 仲野徹
Withdrawalについて──最も根っこのところからの撤退 三砂ちづる
個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か 兪炳匡
極私的撤退論 平川克美
出版社: 晶文社
サイズ:272ページ
発行年月:2022/4/27